日本の伝統文化を知る「はじめての日本画入門編」初回は日本画の準備についてくわしく説明します。【其の二】

制作時間2h~4h(乾燥時間を含みません)

はじめての日本画入門編【其の一】では、はじめて日本画に挑戦する方向けに、どのような材料や道具を揃えれば良いか書き出してみました。今回は事前準備からモチーフのスケッチ、本画を描くところまで説明します。

「日本画」という呼び名は 明治時代に「油絵」に対してそれまで日本で描かれていた絵画に対して付けられたことが始まりで、1000年以上の歴史があり、尾形光琳(こうりん)、伊藤若冲(じゃくちゅう)、など国内外で有名な画家が用いた技術です。現代では、主に和紙・鉱石から採取した顔料・膠(にかわ)という動物性の接着剤を用いた絵画全般のことを指します。

STEP.2 事前準備

【事前準備 1】和紙をパネルに張ります

1. パネルにジェッソなどの下地材を塗ります。乾燥したらもう一層塗り、完全に乾燥させます。この時凹凸ができないように注意します。

2. 和紙をカットし、裏面(ツルツルしてるのが表、ザラザラしてるのが裏です。)に水を塗り伸ばします。

ベタベタにするのではなく、表面がうっすら反射するくらいが望ましいです。

「和紙をパネルに張る」イメージ画像

3. 1分ほど待ち紙が十分水を吸ったら張り込みます。

4. 表面に気泡が入らないように伸ばし、側面の下半分に指で糊を塗り接着させます。角部分は隙間に糊を塗り圧着させます。

5. 乾燥したら下面の余分な部分をカットし、角部分を側面に貼り付け完了です。

「和紙をパネルに張る」イメージ画像2

【事前準備 2】膠を水につけておきます

膠と水の分量は 膠10gに対し水70〜100ccが適量です。

はじめは少し濃いくらいが使いやすいので水70ccくらいが良いでしょう。

水につけた状態でフタ(もしくはサランラップ)をして制作の前日に冷蔵庫に入れておきます。

※膠は暑さに非常に弱い接着剤です。夏場暑い場所に置いておくと1日で腐り接着剤として使えなくなります。また、涼しい場所でも3日以上使う場合は新しく作り直しましょう。制作後は必ず冷蔵庫で保管を心がけてください

STEP.3 モチーフをスケッチしましょう

日本画の場合は下書きは本紙に直接描かず、別紙に描いてトレース(転写)をします。

作家さんによってはこの段階で色を付けたりかなり描き込んだりします。

このスケッチの段階では「どういう描き方」というのは特にありませんが トレース段階で線描になる(線が分かりやすいように描く) スケッチを見ながら描写をする(ある程度情報を描き込んでおく) と良いでしょう。

「はじめての日本画入門編」イメージ画像

STEP.5 本画を描いていきましょう

日本画では油絵や水彩のように絵具を混ぜて色を塗ることをあまりせず、色同士を重ねて色の深みを作っていきます。

リアルに描く、というより「素敵に描く」「色を綺麗に見せる」といった絵にすることを意識すると良いでしょう。

今回は爽やかな印象になるようにスプレー菊を描いていきます。

【本画 1】描いたスケッチをコピー印刷します。

トレースの為にコピーしたスケッチの裏を濃いめの鉛筆(4Bくらい)で塗り潰します。カーボン紙のような役割になります。(塗り終わったらきちんと転写されるか試してください)

「はじめての日本画入門編」イメージ画像

【本画 2】本紙の上にセットし鉛筆で上からなぞり転写をします。

なぞる力が強すぎると紙が凹みすぎてしまい、弱すぎると転写されません、確認しながらいい具合の力加減で行いましょう。

「はじめての日本画入門編」イメージ画像

【本画 3】墨をすり、細い筆(面相筆)で転写した線をなぞっていきます。

はじめは細い線を引くのが難しいですが、最終的に見えなくなる線なので気にしすぎないのが良いです。(墨を使う理由は、定着力が強く上から絵具を塗っても滲んだりせずよく見える為です。)

「はじめての日本画入門編」イメージ画像

【本画 4】前日に水を吸わせておいた膠を溶かします。

60度のお湯を入れた器に膠の器をつけて溶かします。膠をすくう為にはできるだけ小さいスプーンを使います。

※膠は気温が低くなるとゼリー状に固まります。冬場などは部屋の温度を上げることを意識し、もしゼリー状になった時は再度お湯につけて溶かしてあげましょう。

「はじめての日本画入門編」イメージ画像

今回の解説はここまでですが、次回は色を塗りますのでお楽しみに。

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